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お久しぶりな気がします。
本日は、平隊員Tさまが私のイラストに素敵な小説を書いてくださったので、そちらをご紹介したいと思います。
では、さっそくどうぞ。




空色のヨグル―平隊員Tさま著―

raf1moji.jpg アムルカ大草原には千年も昔から「風の民」と呼ばれる者達が暮らしていた。
 風の民は近代の生活とは離れ、クルムと呼ばれる獣に跨り、木製の弓と銅製の鉈を手にして広い平原を駆けていた。そんな姿から「草原の蛮勇」「獣師族」とも呼ばれた。
 彼ら風の民が住む草原に、一人の青年が迷い込む事からこの物語がはじまる――。

 

 白い体毛に覆われ、口端からは鋭利な牙を生やし、強靭な四肢の先には鋭い爪を有した雄々しき獣。遠く西の大陸では虎と呼ばれるものに似たそれを、アムルカではクルムと呼ぶ。古代アムルカの言葉で「猛き獣」という意味だ。
 その猛獣クルムの背に跨り野を駆けるのは、空色の髪を後ろに束ねた少年の姿。動きやすさを重視した麻の服に、濃い青色の背側にやや長い襟巻き。
 全速力で駆けるクルムの速度は人のおよそ五、六倍。当然、乗馬の経験者であっても振り落とされるのは必須。しかし、その者は振り落とされる事はなく、それどころか手綱と呼べるものも握っていない。右の手をクルムの頭に乗せ、左の手には短い弓を携えている。背には矢束を負っている事から、どうやら狩りに向かおうとしているのだろう。
 左足でクルムの横腹をとんとんと軽く二度叩くと、それに応えて加速。辺りの景色は高速で過ぎ去っていく。
 しばらく走らせたところでなにかに気付き、頭を二度叩く。それがどうやら停止の合図だったらしく、急速に走る速度を緩め、そして徒歩程度の速度まで落としようやく立ち止まった。
 クルムの背から降りるとその首を優しく撫で、それから先程目にしたなにかへとゆっくりとした足取りで近付く。辺りに散らばる小物、少し焦げた匂い、そして転がる人影。草原の獣にでも襲われたのだろうか。
 クルムにその場にいるように指示をすると、人影へと急いだ。
「……見ない顔だな」
 抱き起こしその顔を覗く。黒い髪はアムルカでは珍しい。着ている服も麻ではなく革製。なにより変わっているのはその手にしている物だ。手にすっぽりと収まる短い筒状の銃と呼ばれる近代兵器。銃の先端からは白い煙がゆらゆらと揺らいでいる。
 外の民か、とつぶやくとそれに気付いたのか、男は目を覚ました。
「う……。あ、あんたは? それより、山犬はどうした?」
「山犬? いや、私が来た時、ここにいたのはお前だけだ」
 そうか、とぽつりとつぶやくとどこか痛むのか表情を苦痛に歪ませながらも、体をゆっくり起こした。
「俺はジゼ。南の街からここを抜けて西に行く途中だったんだが……」
 そう言って辺りに散った小物を目にしがくりと肩を落とすと、大きな溜息一つ。
「これじゃあ商売は無理だな。あの山犬ども」
 どうやらその男は商人だったらしい。行商という者だろう。行商が道中獣に襲われて命を落とす事は、それほど珍しい話でもない。彼の場合、命があったのは運が良い方だと言える。
「それよりあんた、こんなところでなにを? 弓を持ってる辺り狩人らしいが、ここの獣は他と違って狂暴だぞ」
「ここは私の庭だ。それに獣には慣れている」
 そう言って目をやると、のっしのっしと白い獣、クルムが歩み寄って来た。その姿に男は慌てた様子で手にした銃を構える。
「こ、こいつ、クルムじゃないか!? おい、あんた! 喰われちまうぞ!」
 怯える男に笑って答えると、クルムの首を優しく撫でて見せた。その姿に信じられないと言った表情で、男は声を漏らした。
「……こいつは驚いたな。風の民、というやつか」
「風の民? ああ、随分と古い呼び名だな。今はスン族と呼ばれている。名乗り遅れた、私はそのスン族のヨグルだ」
 ヨグルはそう言いながらクルムの頭を優しく撫でる。まるで犬猫を扱うかのように、可愛がって見せる。
「ヨグル、と言ったか。尋ねたいんだが、ここから西の街へは後どれくらいかかるだろうか」
「西の街か。走れば二日で着く。もっともギンカの脚で、だが」
 ギンカという聞き慣れない言葉に首を傾げたジゼだったが、それがなにを言っているのかはすぐに理解出来た。ヨグルの可愛がるクルムの名前だろう。
「クルムで二日か……。人の足だと一週間見ても厳しいところか」
「南に戻るのなら、人の足で五日程度だ。ただし、道中の山犬には気を付けるんだな」
 ヨグルの意地悪そうなその笑顔に、ジゼは大きく溜息を吐いた。つまりは、どちらも極めて険しい道程であるという事、加えるなら人の足で向かうのは非常に危険であるという事だ。
「この近くに馬を借りられるところはないのか? 乗って来たやつは山犬に吠えられて逃げてしまってな」
「残念だが無い。この近くにあるのはスン族の里だけだ。クルムを一匹貸そうか?」
 ジゼは全力で首を横に振ると、その姿が余程面白かったのかヨグルは腹を抱えて笑った。
「ふふ、冗談だよ。スン族以外の者にクルムは懐かないからな」
「……。はあ、参ったな。南に戻るにも西に向かうにも、足は折れるし獣は出るし……。銃弾もさっきの山犬どもに全部くれてやったからなあ」
 困り果てた、という顔のジゼにヨグルはそれならばと一つ提案を出した。それはスン族の里に来てみないか、というものだった。
 アムルカに住む者の言い伝えとして、風の民に関わる者は獣に食われる悪夢を毎夜見る事になる、というのがある。これは単に風の民であるスン族が、猛獣を飼いならす姿から来ている種族差別のようなもの。
 それを知るジゼではあったが、言い伝えが本当だったとして、野宿を襲われ実際に食われてしまうよりも、悪夢の方がいくらかましだと考え、結局その話に乗る事にした。

 ギンカに跨り野を駆ける事わずか数分、広い草原の先にいくつかの小さなテントが見えた。
「あれがスン族の里だ」
「思ったよりも広いな」
 テントの数は二十程。その他には大小さまざまな鉄檻があり、その中にはクルムをはじめとしたいわゆる猛獣達が伏せって眠っていた。
 彼らにとって鉄製の檻などは地に生えた草花も同じ、撫でれば砕けてしまうものだ。檻が存在するその理由は、夜中に人のテントに潜り込まないようにするためである。
 それは襲われる危険があるからではなく、添い寝しようとするのを防ぐためだ。クルム程の獣がもし寝返りを打ったとしてその下敷きになった場合、人は圧死してしまうからだ。体重は大柄男性八人分相当。懐かれれば懐かれたなりの危険があるというわけだ。
 いくつかのテントと檻を行き過ぎると、周囲のものよりも大きなテントの前でギンカは足を止めた。
「ここが私の家だ」
「随分、大きいな」
 ヨグルとジゼが背から降りたのを確認すると、ギンカは自ら檻へと入って行った。とても猛獣とは思えない姿だ。しばしそのギンカの姿を眺めていたジゼであったが、ヨグルに呼ばれてその後に付いた。
 やや狭めの入り口を潜ると、見た目以上に広い空間が迎えた。高い天井、中央の囲炉裏に焚かれたほのかな光が、より一層その空間を広く演出している。
「里長、お帰りなさい」
「なにやら変わった獲物を捕まえて来たようだが」
 囲炉裏間の左と右に腰を下ろしていた二人は、ヨグルの姿を見るや立ち上がり頭を下げた後そう話した。
「里長?」
「言ってなかったか。私はスン族の長だよ。もっとも、先代である兄が亡くなったのはほんの二年程前。長としてはまだまださ」
 ジゼに囲炉裏間に座るように伝えると、先程の二人のうちの一人、碧色の髪が特徴的な女性と共に布で仕切られた一角へと姿を消した。
「あんた、名は?」
 そこに残った一人、燃えるように赤い髪の男はジゼにそう問う。ジゼは名前を告げると、特に興味もないのか、男はふうんと素っ気なく返した。
「オレはシャディ。さっきの碧色のはルウルだ。とこで、なんであんたはここへ来た? 本来、里へは外の民は入れない約束がある。ま、とは言えそれも昔の話ではあるがな」
 ジゼは草原での出来事を話すと、シャディはくっくっと笑った。猛獣を扱うスン族にしてみれば、山犬など蟻と同程度、大して恐れる程の存在でもないのだ。
 気分を悪くしたのか、ジゼは眉間に皺を寄せて腕を組み、シャディから顔を逸らした。
「いや、悪かったよ。別にあんたを笑ったわけじゃないさ。オレも昔はそうだったからな、あの頃の自分を思い出しただけさ」
「……。スン族にも猛獣を恐れる事があるのか」
 ああ、とシャディがつぶやくと表情を変えた。先程までの明るいものとは違い、どこか悲しそうだ。
「客人に話す事でもないんだがな。少し前に、スン族の者が――」
「その話は禁忌だぞ、シャディ」
 シャディの言葉を遮ったのは、少年のような服装から女性の着る衣装に着替えたヨグルだった。後ろで束ねていた髪も解かれ、頭、首元、手首、足首には煌びやかな装飾品が飾られている。
 見違えるその姿に、ジゼは一瞬言葉を失った。
「ヨグルって……もしかして……」
「里長は女性ですよ」
 ヨグルの隣に控えていたルウルは、ジゼの考えを読み取りそう答えた。
「あの服は狩りに向かう際の狩人装束だ。まあ、私としてはあちらの方が動きやすいし好みなんだが、ルウルがどうしてもと聞かなくてな」
 ヨグルは困った表情で頬を掻いた。
 確かにルウルの見立て通り、女性衣装がよく似合っている。加えて里長の一族として最低限の礼儀作法を心得ているためか、細かな仕草からも女性的な魅力を感じる。その姿からは、先程までクルムの背に跨り野を駆けていたとはとても想像出来ない。
「ところで里長。この者を連れて来たのはなぜ? 確かに私もシャディも元々は外の民の者ですから、連れて来た事自体を強く言えませんが、一応その理由をお聞かせ願えませんか」
 ルウルの質問にヨグルはああ、うーん、となかなか答えを口に出さない。その姿にルウルは溜息を吐いた。
「兄君に似ているから、でしょう?」
「……まあ、そうだな」
 言い当てられたヨグルは、まるで叱られた子供のように肩を縮めて俯いた。ルウルはふうと息を吐くと、ヨグルの頭を優しく撫でた。
「そんな顔をなさらないで下さい。なにも責めているわけではありませんよ。辛いのならもっと私達に甘えて下さっても良いのですよ? 血は繋がっていなくとも、私達は家族ですから」

 陽が落ち、草原に暗闇が広がる頃、ジゼはテントを出て空に広がる星を眺めていた。街から見る星空と、大草原から見る星空は随分と印象が違う。大きな建物がないためか、どこまで視線を走らせても星空に終わりはない。
「星空が珍しいのか」
 聞こえた声に振り返ると、柔らかな薄手のフードを被ったヨグルが立っていた。
 草原の夜は冷える。薄い生地のものではあるが、それでも無いよりはましというところだろう。
 ヨグルはジゼの隣に立つと、そのフードを彼の肩に掛けた。
「兄に、似ているのか」
「……ああ。よく似ている」
 互いに無言のまま目線を合わせた。
 すると突然ヨグルはくくと笑い出した。なにがおかしいのかわからないジゼは、呆けた表情を浮かべた。
「なにを深刻な顔をしている? 兄様に似ていたからと言って、だからどうというわけではないさ。ただ……お前と話していると兄様と話をしているような、そんな気がしただけだ」
「そうか。てっきり、ここに残れとでも言われるかと思った」
「ふふ。残りたければ残れ。ただし、クルムに慣れてもらう事になるぞ?」
 ヨグルは意地悪そうにそう言ってくすりと笑うと、星空を仰いだ。ジゼもその視線の先を追う。
「あれからたった二年。今も目を閉じれば、兄様の後ろ姿が思い浮かぶ。呼べば振り向き、あの柔らかな笑顔を見せてくれる。そんな気がするんだ」
 ヨグルは俯くとジゼの袖を掴んだ。力一杯に。
「私を一人にしないで。兄様」
 ジゼはただ無言のまま、星空を眺めた。どこまでも果ての無い、その星空を。

※※※

 翌日。陽も昇り切らないうちに、一つの影が草原を歩いていた。
 朝の草原には深い霧が立ち込めており、前方どころか右も左も、来た道もわからない程だ。
「参ったな。これじゃあ南に戻るどころか、どっちに歩いてるかもわからん」
 困り果てたジゼはその場にへたり込んだ。はあと息を吐くと、白い空を仰ぐ。
 不意に、彼の近く、その周囲の草を踏み分ける音が聞こえた。一つ、二つ……その数は聞き耳だけでは数えるのが難しい。
 ジゼはゆっくり立ち上がると、腰に下げていた銃を抜く。弾は入っていないが、なにも手にしないよりは幾分落ち着けるというものだ。
 深い霧の向こうからは唸り声が聞こえる。草原を駆る山犬のものだ。その声にジゼは軽く舌を打った。
 一匹が声高に吼えると、それを合図に他のものも吼え、次の瞬間、草を踏み分けて駆ける足音がジゼの耳に届いた。
「ジゼ、どこだ!」
「その声、ヨグルか!」
 聞こえたヨグルの声。深い霧の向こう側からは、山犬の泣き叫ぶ声が聞こえて来る。おそらく、ギンカの爪牙にもてあそばれているのだろう。
 山犬の声が止むと、霧を払って姿を見せたのはヨグルだった。ヨグルはジゼに駆け寄ると、そのままの勢いで飛び付いた。
「無事か?!」
「ああ、大丈夫だ。それよりよくわかったな」
「ギンカが教えてくれたんだ」
 ジゼの無事を確認したヨグルは、緊張の糸が切れたせいか突然泣き出した。それを堪えようと必死なのか、ジゼの服を力一杯掴んでいる。
「よかった無事で。本当に、よかった」

 ギンカの背に乗った二人は、南の街に向かう道を進んでいた。流れる景色はそれほど速くはなく、背から振り落とされるような心配もない。
「里に残ってやれなくて、すまない」
「なにを謝る。お前にはお前のやる事があるんだろ。それに……謝るのはこっちだ。お前と兄様を重ねてしまったせいで、居辛くなったお前はあんな無茶をしたんだろう?」
「まあ、な」
 それから間も無く、南の街から少し離れた辺りまで辿り着くと、ジゼはギンカの背を降りた。
「送ってもらって助かったよ。ありがとうな」
「気にするな」
 ジゼは手を振ると街へ向けて歩き出した。その後ろ姿を見送るヨグルは、ふふと笑うとギンカに来た道へ戻るよう指示を出した。
「ヨグル!」
 名を呼ばれ、とっさにギンカを止めるとヨグルは振り向いた。
「また会いに行く!」
「ああ! 待ってる!」
 互いに笑い合うと、帰るべき道へと戻った。
 その道が再び交わる事があるか、それは――。




いかがでしたか~。風の民、すてきな響ですよね~。しっかりとした世界観に浸れましたよね~。
ヨグルが可愛いです。ジゼとその後どうなるのか気になりますよね。
平隊員Tさま本当にありがとうございました。

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自分でいうのもなんですが
あの二人、どうなるの!?
気になる!

クルムに乗って草原を高速で駆ける事から風の民って呼ばれてるんですが、そこを書き忘れてました。
あははー……。

小説書かせて頂いたうえ掲載までして頂いて嬉しい限りであります。
ありがとうございました。

また「小説書かせてー」なんていうかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。
平隊員T 2009/09/27(Sun)01:26:46 編集
平隊員Tさまへ
気になる、気になりますよね~。
ついつい、妄想したくなります。

風の民にはそういう由来があったんですね~。納得です。

よかった。うれしいと言っていただけて。Okもらう前に掲載しちゃったので、内心ドキドキしてました(笑)

はい、こちらこそよろしくお願いします^^
愛田美月 URL 2009/09/27(Sun)21:09:43 編集
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